晦日蕎麦
晦日蕎麦
近くの蕎麦麺販売店に行った。ここの店は小妻屋といい県知事賞や農林大臣賞を数多く受賞している老舗の製麺工場だ。古く小さな店だが蕎麦の味が生きた風味豊かな麺を提供してくれる。
我が家では毎年大晦日に、ここの生麺で年を越す。
買い物を終え、レジで精算しているとき、蕎麦店の奥さんがこんな事を言った。
「毎月末にはみんな蕎麦を食べたもんですよ。今では給料も振り込みになったり、つけ払いも無くなり、すっかり月末に蕎麦を食べる風習が無くなってねえ。
でもうちはお客さんのご要望もあって、毎月28日には生そばを用意してるんですよ。」
蕎麦は好きでよく食べるが、年越し蕎麦以外で月末に蕎麦を食べるなんて、考えてもみなかった。
晦日蕎麦を広辞苑で引くと次のように記されている。
「月の末日に祝って食べるそば。特に大晦日の夜に食べる年越し蕎麦。」
この晦日蕎麦は、江戸中期から商家を中心に広まった風習のようで、そばのように細く長く家運、寿命を延ばし、身代が長続きするようにと縁起をかついだことから一般に広まってきたようだ。広辞苑にある「祝って」とは、一月が無事に終わったことやたまっていたつけ払いも無事に済んだことに対するお祝いということだろうか。
帰って、早速買ったばかりの生麺を茹でていただいた。
ここの蕎麦は期待を裏切らない。
こしのある蕎麦は蕎麦そのものの味がしっかり口の中に広がり、風味豊かな香りとともに、つるっとのどに流れ込んでゆく。
ああ、箸が止まらない!
-K.T- 6/29
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