信州高山の湧き水
信州高山村を山の方に向かって車を走らせると、集落の終点付近で山田温泉方面と万座方面へ分岐する三叉路に当たる。左へ行くと山田温泉、真っ直ぐ進むと万座温泉へとつながる。私は久し振りにわが家に訪れた名古屋に住む姪を乗せ、万座方面へ向かった。
目的地は毛無山の湧き水。
数えて110ほどのカーブを有する登りの険しいコースである。
鬱蒼と繁る杉林を過ぎると、やがて赤松のコースに変わり、いろいろな景色を見せてくれる。地面は笹竹で一面覆われている。
マイナスイオンをたっぷり吸い込みながら、車をさらに走らせて行くと、テントを張って車を止めているおじさんに出会った。
入山料を徴収しているようだ。この時期、竹の子狩りに沢山の人が入ってくる。山を維持して行くため必要なことなのだろう。水を汲みに来た旨を告げてそのまま進んだ。
木々の間から時折松川扇状地が北アルプスを遠景にして姿を現す。そのたびに姪は「おーっ!」と歓声を上げる。
彼女の住むところは名古屋市郊外の自然豊かなところであるが、やはりこちらとは規模が違うのだろう。所々に濃いオレンジ色に染まったレンゲツツジが笹藪の中から姿を現すと、同じように歓声が上がった。

カーブの番号が1番になった。ここから下りになる。
このまま行くと万座温泉に行くのだが、すぐに右に折れた。少し下った左手に目的の湧き水があった。ボーッとしていると通り過ぎてしまいそうな小さな湧き水である。
車から降りると、ひんやりとした空気に包まれた。
水のせいだろうか。
4リットルの大きなペットボトルが8本。
この湧き水を汲みに来るために調達したらしい。
少し前に飲んだこの湧き水の味が忘れられず、わざわざ名古屋からペットボトルを持ってきたのだ。
道路沿いの駐車場所もない目立たないところで、何年もかけて地中を通り抜けた水がミネラルをいっぱいに含んで岩肌から湧き出てくる。
周辺に落ちる水を雨樋のようなもので集め、塩ビのパイプを通して流している。土地の人たちが昔からこうして工夫しながら利用しているのだろう。
結構な水量がでている。
冷たいっ!
こけの生えた岩の隙間から流れ出る清水は、爽やかな水の香りを辺り一面に広げ、この周辺に不思議な空間を作り出しているように感じた。
6/28 -K.T-
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